次の一歩は、地球のために 
― 水素発電機開発の舞台裏

自動車業界におけるEV市場において、バッテリー車が優勢である現在。そのような状況においてIJTTは、産業用燃料電池を見据えた技術開発を開始している。その第一歩となるのが、定置型水素発電機の開発プロジェクトである。 

将来の可能性への期待

未知の領域へと歩みを進めるIJTTが、若手技術者たちのリーダー的存在のタキザワをプロジェクトのメンバーのひとりに抜擢したのだその背中からは、不安よりも挑戦への意欲が伝わってくる。「まずは定置型で技術を確立し、将来的には産業機器分野用途への応用を視野に入れています」と、明るく語る。定置型水素発電機の開発は、発電機の実用化だけでなく、今後の産業機器向け燃料電池技術の構築というつの目的を併せ持つ重要な役割を担っている。継続的な技術革新を支えるため、若手エンジニアが参画し、次世代の視点を取り入れながら実用化に向けた挑戦を続けている。 

しかし、進む道は決して平たんではない。水素化マグネシウムの取り扱いや安全性、環境への配慮とひとつの課題をクリアしても、常に新しい課題に頭を悩ませていた。行き詰まり、頭を抱える瞬間を何度も経験。だが、その苦労にもあきらめず向き合い続けたからこそ、独自の廃液処理方法確立に成功まさに技術の壁を超える鍵となる重要な要素となった。現在、この反応済水溶液コスメや肥料の分野への活用も研究が進んでおり、水素発電だけでなく、副産物の有効活用による総合的な価値創造も目指している。化学反応の制御は「まさに手探り状態からのスタートでした」と振り返るように、非常に困難を極めた。水素化マグネシウムから水素を生成する原理は理論的に理解していものの、それを安定的に供給する技術の確立が最大の課題となった諦めることなく何度も試行錯誤を繰り返した結果、タキザワを含めメンバーたちは、リアクター反応層の最適化に着目。連続的な化学反応を細かく制御することで、安定した水素供給・発電を可能とした。  

社会課題解決に広がりを見せる応用力

IJTTの定置型水素発電機はすでに実用可能段階に達してると、タキザワは誇らしげにまた、応用可能性が広範囲に及ぶため、今後の社会インフラを支える重要な役割を果たせると説明。「離島のエネルギー問題・災害時の非常用電源など、ディーゼル発電機と違い、排ガスのないクリーンな発電が可能なので、屋内でも使用できます」と、笑顔で教えてくれた。 

中長期的に先を見据える必要がある先進的な本プロジェクト。「前進していく上司の力強い背中に励まされています」と語る横顔から、決して挫けることなく、上司や仲間たちとともに開発者として進み続ける強い意志を感じさせた。