「電動化の波」に、どう応える?
― e-Axleという挑戦

自動車業界におけるEV化の波は、確実に広がりを見せている。その流れは乗用車だけでなく、トラックなどの商用車にも及んでいる。ここIJTTでも、商用車のe-Axle電気自動車の駆動ユニットに焦点をあてた新たな挑戦が歩みはじめた。 

若手技術者のオカモトは、そんなプロジェクトに参加するひとりだ。
メンバーの中でも、年齢的にも若手の部類。技術や知識はまだまだこれからで、伸びしろに期待されていることは、誰よりも本人が一番自覚している。ところが、オカモトはこれをチャンスと捉え、気持ちを高ぶらせていた。新しいことに挑む怖さよりも、自らが知らなかった領域に踏み出しゼロから学ぶことにやる気を感じていた。

エンジニア集団が直面した壁

希望にあふれて始まったプロジェクトだが、早い段階で大きな壁が立ちはだかった。それが、e-Axle開発における技術者の専門性のギャップである。
電気自動車(EV)の駆動に必要なモーター、インバータ、減速機(トランスミッション)のつを一体化した駆動ユニットであるe-AxleEVが走るために必要な部品をひとつにまとめることで、コンパクト化や小型化をいかに実現するが、開発段階で課題によく挙げられる。しかし、IJTTではそれが違った 

機械系エンジニア集団として、知識や技術を発揮してきたIJTTだが、e-Axle開発に求められるのは、電気・電子系エンジニアの知識や技術そのギャップを埋めるべく外部から専門家を招いたが、それだけでは解決しない。そこで白羽の矢が立ったのが、オカモトをはじめとした若手技術者たち。電気分野の知識を基礎から学ぶミッションが与えられた。

電動化への転換が進んだきっかけ

電気分野の開発では、新たに学ぶことも多く、苦労も大きかった」と当時を振り返るオカモト。基礎からの勉強に、不慣れな専門用語、複雑な回路図などとにらみ合う日々。しかし、辛かったという思いよりも、苦労を経験し、成長できたことへのよろこびが勝っていた。そんな中で心の支えとなったのが、司のチャレンジ精神や 他社から入社したベテランたちの教えがあったことであると挙げている。ベテランたちの存在が、若手の中にあった電動化への心理的ハードルげたという 

加えて、過去の実績が活きる場面もあった。商品開発を行った際に経験した新機構DR(デザイン・レビュー)という、新製品を立ち上げるためのプロセスが非常に役立ちました」と語る。新機構DRは、全く初めての新製品開発において品質や仕様をチェックするプロセス。こにより、未知の技術分野であっても体系的なアプローチで開発を進めることができた 

形になった成果と次なるステージへの意欲

2025年に開催された展示会、そこでオカモトたちが開発したe-Axle搭載車両が初めてお披露目された。「やっとここまでたどり着いた。苦労を共にしてきた仲間たちと、感動を分かち合えた」とその時の思いを熱く語るオカモト。同時に「まだまだこれから。開発の進め方はわかってきた。これからもっと試行錯誤を繰り返し、もっと高みを目指したい」という彼の目は、数年先の未来を見据えているようであった。