支えられた経験が、次のキャリアをつくる
IJTTで見つけた働き方

2026.09.30

自動車業界を取り巻く環境が大きく変化するなか、製造現場を支える購買の仕事にも、柔軟な対応力と幅広い視野が求められている。

入社以来11年間、購買部門のキャリアを歩んできたツチヤ。部品バイヤー、生産準備、副資材の調達などこれまでさまざまな業務を経験し、現在は産休・育休を経て、時短勤務で仕事と子育てを両立している。

ツチヤの歩みから、IJTTにおける働き方と、子育てを経験して得た新しいキャリアの描き方を聞いた。


人と人をつなぐ、購買という仕事

「入社してから、ずっと購買部門にいます。最初は購買全体の基礎や製造寄りの業務を学び、その後、部品バイヤーを担当しました」

部品バイヤーとして約2年間、製品に組み込まれる部品をサプライヤーから購入・確保する調達業務を担当。その後は、生産準備や地震・台風など自然災害発生時のサプライチェーン対応などを経験し、購買としてのキャリアを重ねてきた。

現在は、手袋や保護メガネ、ウエスなど、工場の安全や生産活動を支える副資材の調達を全6拠点分担当している。原材料価格の高騰や供給不安など、近年は調達を取り巻く環境が大きく変化しているが、サプライヤーとの交渉や調整を通じて、安定供給とコストの両立を図ることがミッションだ。

「工場側も限られた予算の中で運営しています。交渉の結果、コストの最適化や安定供給に貢献できたと実感できると、やりがいを感じます。感謝の言葉をいただけることもあり、モチベーションになります」

サプライヤーと各工場。それぞれの立場や事情が異なるなかで、相手の話を聞き、調整しながら前に進める。ツチヤは、こうした経験を通じて、一人で成果を出すよりも、周囲と信頼関係を築きながら仕事を進めることの大切さを実感してきた。面と向かって話す機会が少ないからこそ、文章や電話でのコミュニケーションも丁寧に、そして大切にする。信頼関係を築くことが、調整や交渉を前に進める力になるからである。


「戻ってきてくれてありがたい」という言葉

ツチヤが産休に入ったのは、2023年の夏だった。約1年半を経て、2025年のゴールデンウィーク明けに職場へ復帰した。「産休・育休を取得し、復職する」という選択に迷いはなかったという。その背景には、職場で働く先輩ママ社員の存在と、制度への安心感があった。

「身近にママ社員が多かったので、復職後のイメージを持ちやすかったです。退職してパートとか別の働き方をするというよりは、休んで戻ることが自然な選択でした」

一方、復帰したときに自分がどんな役割を担うのかは不安もあった。そこで復職前に会社を訪れ、上司と部署の状況や復帰後の業務について確認した。その際にかけられた言葉が、ツチヤの背中を押した。

「上司から『戻ってきてくれる予定でありがたい』と言っていただきました。育休中、周りに負担をかけているのではないかという気持ちもありましたが、自分が必要とされていると感じられ、その言葉で安心できました」


チームの一員として

現在、ツチヤは時短勤務を利用している。業務を支えているのが、チームでカバーする職場の体制である。ツチヤの不在期間に業務を担当していたメンバーが内容を把握しており、急な休みでも対応できる状態が整っている。

「今の業務は、誰か一人しか分からないという状態がありません。子どもの体調不良などで急に休むことになっても、メンバーが快く引き受けてくれます。また、自分一人で処理できるものは早めに対応し、判断が難しいものやリスクが大きいものは、早めに上司へ共有します。全部を抱え込まないこと、日頃のコミュニケーションが大切だと思っています」

「一人で頑張る」だけでは仕事は成り立たないことを改めて実感している。


育児で得た成長を、次の世代へ

「子どもはまだ小さくて理屈が通じないことの方が多いんです。仕事に戻ると、大人同士でちゃんと言葉が通じることがありがたく感じます。仕事があるからこそ、気持ちのバランスを保てている部分もありますね」。育児から少し離れ、気持ちを切り替える時間として、仕事が良い息抜きになることもあるという。

仕事、家庭、そして自分自身の時間。どれかひとつを犠牲にするのではなく、その時々の状況に合わせてバランスを取りながら生活を組み立てる。負担をため込まず、言葉にして調整する姿勢は、仕事にも家庭にも共通している。

出産と育児を経験し、忍耐力がついたほか、子どもの行動を通して自分の言動を振り返る機会も増えた。

「親になって、こちらも成長させられていると感じます。子どもは親のことをよく見ているので、自分の振る舞いを直そうと思う場面が増えました」

今後は、これまでの購買経験を生かし、後輩を支える役割にも積極的に挑戦したいと考えている。購買の仕事は、バイヤーが一人で責任を背負う「個人事業主」のような状態になりやすい。だからこそ、若手が悩みを抱え込まないよう、業務面と精神面の両方で支えたいという。

「しんどいときに気軽に相談できたり、少し愚痴を言えたりする先輩になりたいです。新人に重い仕事を一人で抱えさせるのではなく、先輩がクッションになれる体制づくりにも関わりたいです」

子どもの行動から自分自身を見つめ直し、周囲に支えられる経験を通じて、人を支える側でありたいと思うようになった。自分の担当業務に向いていたツチヤの視線は、今、チームや後輩へと広がっている。人生の節目はキャリアの中断ではなく、新たな役割との出会いでもある。購買担当として培ってきた経験を生かしながら、今度は後輩の挑戦を支える存在へ。その一歩が、ツチヤの次のキャリアをつくろうとしている。